
オランダ人は言います。
"Vlaと言ったらリンブルフ州に行って食べなくちゃね。"
Vlaとは、そう、オランダの味、リンブルフセ・フラーイ(de Limburgse Vlaai)のこと。では、リンブルフセ・フラーイって、どんなものなのでしょう?文字通り解釈すれば、それはオランダはリンブルフ州で作られた焼き菓子ということ。もちろん現在では、スーパーやパン屋さんに行けばオランダ全国どこでも買えるようになってますが.....。もう少し詳しく描写させていただけるのならば、リンブルフセ・フラーイとは、直径28センチのタルト型で生地を焼き、そのトッピングに季節の果物や甘く煮たライス、プディングなどをのせた焼き菓子、と言ったところでしょう。
次にその歴史についてちょっと見てみましょう。リンブルフセ・フラーイとはいつ頃からこの地方で焼かれるようになったのでしょうか?古代ローマの記録によると、
"ゲルマン人は細かくすりつぶした穀物で平らな焼き菓子を熱した石の上で焼き、フルーツのムース(flado)を塗っていた。"
ということです。ただし、これがリンブルフセ・フラーイの原点になっているかどうかは、はっきりとしていないようです。おそらくこの時代はパンとして食べていたものを、よりおいしく食べようと工夫して、そのパンの上にはちみつや果汁を塗るようになったのがいつのまにかフラーイになったのではないでしょうか。いずれにせよ、一般的にはゲルマン時代からの伝統料理とされているようです。
フラーイはリンブルフ州で毎日焼かれていたわけではありません。60年代までは、単に祭事の時のみ食べられていました。リンブルフ州で頻繁に食べられるようなったのは70年代以降です。20世紀に入ると、フラーイ作りの大部分は主婦の仕事からパン屋の仕事へととってかわりました。その間も、主婦が早朝準備した生地とトッピングを器ごとパン屋へと持って行き、再び夕方パン屋にできあがったフラーイをとりに行くという行為は続けられていましたが。パン屋で焼かれるようになったのは、つい最近のことなのです。
フラーイのトッピングにはもともと、季節の果物をのせていました: 夏はスグリやさくらんぼを、秋にはプラム、初冬にはりんごを。果物を手にいれることのできない貧しい人々は、にんじんを加工してフラーイの具にしていました。地域によっては、断食の時に黒色のプラムフラーイのみを食べ、イースターの時には白色のライスフラーイのみを食べるのが習慣になっていました。また、ライスフラーイとバターフラーイは高価なものでしたので、例えば祭りや結婚式、ケルミスなど、特別なときにのみ焼かれていました。
フラーイは住居から離れて作られたオーブンに薪や枝をくべて焼かれていました。まずは生地を手で練り、大きな木桶にねかします。次はトッピングの調理。種をとったさくらんぼ、とろみをつけた果物、お米をやわらかくおかゆのように煮たものやプディングなどが好んで用いられました。生地が発酵したら、定番の直径28センチのフラーイ型にあわせてのばし、その上に菜種油をぬります。十分に焼けたら、熱を冷まし、地下の貯蔵庫に並べて蓄えられました。そして、日曜日に食卓にのぼったのです。まず、フルーツフラーイが、次にライスフラーイが、そして、バターフラーイと。粉砂糖をまぶし、8つに切り分けられて。
さて、リンブルフセ・フラーイの豆知識、いかがでしたでしょうか?旅行のついでに、オランダはリンブルフ州のパン屋さんに寄ってみるのも悪くはないでしょう。そして、リンブルフセ・フラーイ(de Limburgse Vlaai)を手に入れたら、もちろんおいしいコーヒーとくつろぎの一時をお味わいください。